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2014年6月12日木曜日

なぜ、介護保険「2割負担」の厚生省の根拠が崩壊したのか?

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現在介護保険制度を変えようと政府と厚生省が動いている。これまで1割負担だったものを2割負担にしようとしているが、その根拠となる情報が誤りだと国会で判明したとしんぶん赤旗は報じている
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厚生省の2割負担の根拠とは?

『介護保険改悪 2割負担の論拠 全面撤回/厚労相 小池議員の追及受け
 014年6月11日(水)

 田村憲久厚生労働相は10日、医療・介護総合法案を審議中の参院厚労委員会で日本共産党の小池晃議員の追及を受け、介護保険の利用料引き上げ(1割から2割へ)の論拠を全面撤回しました。厚労省は年金収入359万円(可処分所得307万円)の夫婦をモデル世帯とし、支出を引いても「手元に60万円残る」から負担可能だと説明していました。』

可処分所得についておさらい

『国民所得計算上の用語。個人所得から個人所得税その他の公課を控除したもの。個人所得とは個人の受け取るあらゆる所得の合計であり,賃金,個人業主所得,個人の賃貸所得,配当,利子などのほか年金などの移転所得も含む。 』
(http://kotobank.jp/word/%E5%8F%AF%E5%87%A6%E5%88%86%E6%89%80%E5%BE%97 より)

(誤)2割負担したい厚生省「モデル世帯 60万円余っている」

これまで厚生省は
  • 年金収入359万円(可処分所得307万円)の夫婦をモデル世帯
として
  • 収入250万~349万円の階層の平均消費支出247万円
のぶんを差し引くと、
  • 手元に60万円残る(307ー247)ので2割負担可能
という根拠で主張してきたのですね。

だがこれが誤りだと判明したわけです。

ここの「平均消費支出247万円」がキーポイント。 後で出てきます。

(正)モデル世帯「35万円足りず貯金崩してる」

結論を言えば、正しい情報はこうでした。
  • モデル世帯は60万円余っているどころか、35万円足りない。 
  • 計算上、貯金を取り崩して生活している。
  • 2割負担を受け入れる余裕はない。
どうしてこうなるのか、詳しく見ていきます。

(正)消費支出247万円の階層の平均可処分所得は197万と判明

判明したことはこうでした。
  • (正)「消費支出247万円」の階層の平均可処分所得は「197万円」
消費支出247万円を軸に考えたのですね。消費支出247万円でも平均可処分所得には人によって上下ありますからね。消費支出ベースで考えたほうが消費者目線ですね。

ゆえに、
  • 厚生省の主張する負担増のモデル世帯(可処分所得307万円)と比較すると110万円も低い
と判明したのですね。

話はそれますが、だいたい、「収入250万~349万円の階層の平均消費支出247万円」 という考え方が乱暴すぎますよね。
  • 収入250万円の人と収入349万円の人の消費支出には差がある
わけだし。

ちょうどこの辺りって生活が苦しいかセーフかの分かれ目ですよね。

それを平均して「平均消費支出」で捉えるのは乱暴ですよ。厚生省の捉え方は、生活してる人の立場について思いを寄せてない考え方ですね。

報道では次のように書いてあります。

(正)年間収入350万以上の階層の消費支出342万円

『 小池氏は「年間収入350万円以上の階層の消費支出は342万円だ。モデル世帯は60万円余っているどころか、35万円足りない。貯金を取り崩しているのが実態だ。黙っていても2割負担できるのではなく、支出を急激に削らなければいけないということだ」と指摘しました。』
上記の計算でいくと
  • (正)年間収入350万円以上の階層の消費支出=342万円
  • (誤)厚生省=247万と主張
となり、厚生省は実態より家庭に100万円余裕があるとみなしていたことになります。

その結果、
  • モデル世帯は60万円余っているどころか、35万円足りない。 
  • 計算上、貯金を取り崩して生活している。
  • 2割負担を受け入れる余裕はない。
という主張が正しいことが証明されています。

厚生省は誤った情報で、2割負担を行おうとしていたことになります。

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